羽切り(羽根のクリッピング)とは、両羽の”風切羽”をハサミで切ってしまい、インコを飛べなくしてしまうという処置の事です。
なんだか、インコにしてみればちょっと残酷な気がしますね。
風切羽は飛ぶときに大事な羽で、ここを切るとうまく飛べなくなります。
今回はインコの羽切のメリットとデメリットを紹介します。
まずは、なぜ羽切りが必要なのか、そこらへんを説明します。
インコに羽切りが必要な理由
インコは鳥です。空を飛ぶ生き物であり、その身体は空を飛ぶための形や性質を持っています。
例えば骨密度が低くなっていることや、食べたものをすぐに排せつすることも、身体を軽くしてすぐに飛び立てるようにするためです。
飼育されているインコたちは、あくまでも飼育されている身。
外に飛び立ってしまえば、その命は危険にさらされてしまいます。
そのためインコのためにも、出来るだけ逃げ出さないようにしなければいけません。
ですが、昭和の時代の家は大きな窓や縁側があったり、ご近所付き合いが現代よりも密で、突然誰かがドアを開けたりすることも多かったでしょう。
そんな環境でインコが放鳥中であったりすれば、逃げ出してしまう事もあったかもしれません。
そんな不測の事態にインコが逃げ出すのを防ぐため、数十年前のインコの飼育の中では羽を切ることは当たり前でした。
つまり羽切りとは、インコが逃げないための処置だったんですね。
また、その時代はどうしてもペットに対しての価値観も現代とは違ったものであったはずですし、羽根切りは必要な部分が大きかったと思われます。
しかし現代は良くも悪くも核家族化が進み、放鳥中に突然ご近所さんにドアを開けられることも少ないですし、住宅事情も変わってきています。
必ずしも羽を切る必要はなくなってきていると思われます。
現在では専門家をはじめ、鳥を飼う多くの方が、「羽根を切ることに反対」の考え方となっています。
羽根切りのデメリット
羽根の切り方も、ほとんど飛べなくする方法や、少し滞空していられる切り方など様々ありますが、程度の差こそあれ、飛べなくするという事は鳥の回避行動も制限してしまう事になります。
羽根を切ると上から物が落ちて来た時、すぐに飛び立って逃げることが出来ません。
一定の高さ以上から落ちた時に身体を打ち付けて、捻挫や骨折をしてしまう危険性があるでしょう。
それに羽切りを行ったインコや小鳥は、運動不足になり肥満になることもあります。
鳥にとって一番のストレス解消法は飛ぶこと。
クリッピングされてうまく飛べなくなると、ストレスが溜まって自分で羽を抜いてしまうこともあります。
羽根切りをされたショックで落ち込んでしまう子もいるそうです。
また、羽根切りは定期的にしなければ切った部分も伸びてきてしまいますし、ちゃんと調整をしたつもりでも、思ったより飛んでしまい結局逃げてしまう場合もあります。
これでは、逃げないために羽根切りをしたのに、意味がないでしょう。
それに単純に、羽根を切るのが飼い主だと、インコに嫌われてしまうかもしれません。
これらの事を考えると、小型のインコではほとんどの場合、羽根切りは不要でしょう。
羽根切りのメリット
インコを飼っている方の多くは、鳥の羽根を切るなんて腕をもがれたようなものだと、羽根切りには反対しています。
しかし大型のインコや暴れてしまって逆に怪我や事故につながるような場合は、羽根切りが必要なこともあるでしょう。
あなたが大きな縁側付きの家に住んでいてインコが逃げ出してしまいそうなら、それもまた羽根切りが必要かもしれません。
家具にぶつかる、窓に突っ込む、鍋に飛び込む、換気扇に飛び込む、ほかの部屋に飛んでいき隙間から外に飛び出すなどなど、飛べるからこその危険も沢山あります。
また、インコが骨折をしていて、じっとしているべき時も羽根切りは有効かもしれません。そういった場合は、獣医さんに相談し羽根切りを行ってもらいましょう。
ネットや本でも切り方は書かれていますが、素人判断で羽根切りをするのは絶対に止めましょう。最低でも数回は専門家の方に習うべきです。
(個人的にはインコの羽をハサミで切るなんて自分じゃ絶対できません!!)
昔は自分でハサミを使って切っていたそうですが、羽切りのバランスが悪ければ怪我のもとですし、切り方を間違って怪我をさせてしまうかもしれません。
何らかの事情でどうしても羽切りを行いたいということであれば、自分でやるのではなく、獣医師に事情を話して処置してもらうのがベストだと思います。
鳥は飛ぶ生き物です。せっかくインコを飼ったのです。飛ぶ姿を見ることは、他の生き物の飼育では味わえない、まさに醍醐味です。
羽根切りは必要最小限に留め、元気いっぱい飛び回る姿をいつまでも楽しめるとよいですね!!
鳥さんをお迎えするときは風切羽をチェックしましょう!
もしこれからインコなどの鳥さんをお迎えしたいのであれば、そのまえにクリッピングされているかをしっかりとチェックしましょう。
まれにペットショップでクリッピングされている鳥さんもいます。
通常、鳥はヒナから成長の過程で飛ぶ練習をします。
いまでは縦横無尽に部屋を飛び回る我が家のアキクサインコぴこですが、ヒナの状態から差し餌を卒業し、はじめてケージから飛びたつときにはやっぱりヘタでした。
壁にちょっとぶつかったこともあります。
いまでは急旋回、短時間の滞空、急上昇など、部屋の中を飛び回ってもどこにもぶつかりません。
こういった試行錯誤や経験を積んで飛ぶのが上手くなるわけですが、ヒナの段階でクリッピングされていると飛ぶ練習をすることができません。
最初の段階で飛ぶことを学ばないと、直線にしか飛べないなど、飛ぶ技術が下手なままだったり、一生飛ばない鳥になってしまうことだってありあます。
クリッピングしている小鳥は買わない。
そうすれば「クリッピングしている鳥は売れない」になります。
そしていつか「鳥にクリッピングはしない」になるかもしれません。
まだまだペットショップでは鳥さんをクリッピングしているところも多いとか。
鳥は飛ぶのが仕事ですから、こんな文化は少しずつでも減って欲しいですね。
追記:インコの羽根の切り方について
この記事に「インコの羽根の切り方」について調べてたどり着いた方もいると思います。
個人的に羽切はしない方がいいと思いますが、家庭の事情などでやらなければいけないこともあると思います。
もし風切羽をクリッピングしたいのであれば、ちゃんと鳥を診れる獣医師さんにやってもらうことをお勧めします。
羽根の切り方についての動画などもありますが、自分でやると鳥さんに怪我をさせてしまうかもしれませんし、ヘタにクリッピングしたら逆に危険な飛び方になってしまうかもしれません。
わざわざ病院に連れていくもの手間かもしれませんが、ちゃんと専門家に任せるべきだと思います。