インコが自分のクチバシで自分自身の羽を抜いてしまう問題行動を「毛引き」と呼びます。
毛引きがエスカレートすると、自分の身体をクチバシで咬む「自咬」(じこうと読みます)してしまうかもしれません。
これらの問題行動を放置しておくと、インコ自身が傷つきますし、傷から感染症になってしまうこともあります。
今回は、インコの毛引きや自咬の原因と対策を紹介します。
毛引き症や自咬(じこう)の原因
毛引きや自咬は、人間における自傷行為と同じ。
その原因も、人間とほとんど同じです。
寂しさ。
退屈。
注目を浴びたい。
そんな慢性的な強いストレスを感じることが、毛引きや自咬の原因になります。
インコも人間と同じ心を持っていて、ストレスを感じると同じように傷ついているのです。
ほとんどの毛引きはストレスが原因ですが、稀になんらかの病気が原因の場合もあります。
- 腸内の寄生虫
- 何らかの皮膚病(皮膚真菌症や腫瘤など)
- ウイルス性羽毛疾患(PDFDやBFD)
- 皮膚への脂肪沈着
- 過度の空気乾燥
こういった病気が原因の場合、早めの対処が大切。
気が付いた時点で病院に連れていきましょう。
ちなみにインコなどの小鳥でダニが原因で毛引きするケースはほとんどないようです。
鳥には「トリヒゼンダニ」や「羽毛ダニ」などが寄生する場合がありますが、これらが毛引きの原因にはなりません。
わが家のアキクサインコぴこにもダニが寄生していたことがありますが、毛引きはしていませんでした。
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毛引きや自咬を改善する方法
ほとんどの毛引き症や自咬はストレスが原因。
飼育環境やエサを見直して、インコのストレスを緩和させれば自然と収まります。
ただし毛引きや自咬をずっと放置しておくと”クセ”になってしまい、治りづらくなってしまうことも。
もし毛引きしているようであれば、すぐに飼育環境を改善し、それでも続く場合は病院に連れていくことが大切です。
では次に、ストレスが原因だった場合の具体的な環境改善策を紹介します。
放鳥時間を長くする
インコのストレスを解消するための最も効果的な方法が、放鳥時間を長くすること。
インコは飛ぶことで運動不足やストレスを解消することができます。
ずっとケージの中にいると退屈ですし、ストレスも溜まるでしょう。
ケージの外で羽を広げて飛んだり、見慣れないものをかじってイタズラしたり、飼い主の肩にとまったり、そんな活動でインコのストレスを軽減させることができます。
飼い主とのコミュニケーションをしっかりととる
インコを撫でてあげたり、手からエサを上げたり、声をかけたりする、そんな飼い主とのコミュニケーションはインコにとっても至福のひとときです。
もしコミュニケーションが不足してたら、「もっと遊んで!」と注目を浴びるために毛引きをしてしまうかもしれません。
毛引きをすると飼い主が心配してくれる、そんなパターンをおぼえたら、毛引きの癖を治すのがさらに難しくなってしまうでしょう。
日頃からしっかりとかわいがることが、インコのストレスを解消させる一番の方法ですね。
ただし、コミュニケーションが大切といっても感じ方には個体差があります。
構いすぎでストレスを感じる場合もあるのでも注意しましょう。
寂しい思いをさせない
インコはとても寂しがり屋な鳥です。
ケージの中でジッとしていても、見えるところに家族がいると安心します。
ですが、家の奥の誰も来ないような場所に放置されると、余計に寂しさを感じてしまいます。
放鳥する時間があまりとれなかったとしても、家族と一緒にいれらる空間においてあげることで寂しさを紛らわすことができるでしょう。
ただし夜もず~っと騒がしいリビングに置いておくと、それがストレスになってしまうことも十分にあり得ます。
インコの感じ方は人間と同じで個体差があります。
愛情をもって自分のインコにとってベストな環境を考えてあげることが最も大切ですね。
新しいオモチャを与えよう
インコは個体によって性格も好みも違います。
インコ用のオモチャを買い与えても、興味深く遊ぶオモチャもあれば、せっかく買ったのにまったく遊ばないオモチャもあります。
「オモチャなんて買ってもどうせ遊ばないだろ…」
なんて思わずに、ストレス解消のためにもいろんなオモチャで遊ばせてあげましょう。
狭いケージの中でもオモチャがあればストレス解消になりますし、いろんな形のオモチャで遊ぶことで刺激になり、知識や経験が身に付きます。
複数のオモチャを用意して、毎日違うオモチャを使う、なんて方法も有効だと思います。
病気が疑われる場合
毛引き症や自咬症は何らかの疾患が原因で発症する場合もあります。
しっかりと飼育環境を整えていて、エサもちゃんと与えている、それでも毛引きしている場合は病気を疑いましょう。
皮膚にイボができていないか?
理由もなくケージの中で騒いでいないか?
フンの状態は大丈夫か?
皮膚や羽の色に異常はないか?
日頃からインコの様子をしっかりと観察するのが大切です。
少しでも異常がありそうな場合や、毛引きの原因が不明な場合は、すぐに病院に連れて行ってあげましょう。
予防のために年に1~2回ほど健康診断を受けさせるのも大切です。
多頭飼いの場合、他の鳥がやっていることも!
インコを同じケージで数匹飼育している場合、他のインコが羽を抜いてしまうケースもあります。
その場合は、もうひとつケージを用意して別々に飼育する必要があります。
インコ同士も人間関係といっしょで、気が合って仲良くできることもあれば、まったく仲良くできない場合もあります。
違う種のインコや、体格の違うインコ、性格がまったく違うインコなど、相性が悪い可能性はゼロではありません。
そうなると常にストレスを感じて毛引きする場合もありますし、乱暴なインコは大人しいインコの羽根をかじってしまうこともあります。
インコを2羽以上飼う場合は、いきなり同じケージに入れるのは絶対にNGです。
少しずつ慣らしていって、お互いにわかり合えた後に同じケージで飼育しましょう。
もし仲が良くできないのなら、ずっと別々のケージで飼育することを視野に入れることも大切です。
我が家のぴこは?
我が家のアキクサインコぴこは、今のところ毛引きや自咬をしたことはありません。
放鳥時間を長めにとっているので、ストレス解消になっているのでしょう。
今では元気いっぱいのぴこですが、お迎えしてから半年~1年くらいの間は強いストレスを感じていたと思います。
というのも、尾羽に「ストレスライン」がハッキリとあらわれていたから。
*詳しくはこちらの記事で紹介しています。
恐らく急激な環境の変化によるストレスや、栄養バランスが悪かったりして、満足な飼育環境を提供できていなかったことが原因と考えれます。
羽の状態をしっかりとチェックするのも、インコのストレスを把握するのに有効なのではないでしょうか。